◆俳句育児手帖
季節の中にいのちをはぐくむ
子を負へば涼しき月を負ふごとし
◆本文より
いざ母親になる身になって、胎教というのはなかなか難しいことがわかった。音楽や絵画の鑑賞ばかりではない。胎教とは、そもそも母親がおなかの子どもにやさしい語りかけを繰り返すことであるという。胎児も母親に語りかけている。その対話を十七字に詠む。かけがえのない出生前の十ヶ月間を、俳句のアルバムに残すことができるのは、母と子にとって幸せなことである。
胎の子も家族にかぞへ西瓜食む 日差子
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[うえだひざし(1961〜)「ランブル」創刊主宰 俳人協会幹事]
序:向田貴子
装丁:君嶋真理子
B6判並製フランス装
60頁
1998.05.01刊行