一羽、朽ちた電柱の上に身をすぼめる鳥はカラスか 何時、何処から来たのか みじろぎもせず- 閉塞しつつある混迷の世を如何に生きるか? 自らの未来を自ら切り拓こうとしている人に贈る詩集。
詩作は自分のためのものであるが、また贈るためのものでもある。私は、同じ境涯にある人やお世話になった方々や次世代に私の心を伝えたい。だから、詩に奇異な形式、難解な表現あるいは幼児用語を採らない。詩精神の衰弱、韜晦あるいは退行と誤解される怖れがあるからである。
著者(あとがきより)
<目次>
一、予兆/二、未明/三、出航/四、道/五、旅/六、公園の四季(春、夏、秋、冬)/七、往来/八、落葉/九、情景/十、流れに寄す(源、渓流、淀み、大河)
渓流
今やせせらぎとなり
その軽やかな流れは
野を越え、林をくぐり
小鳥のさえずりに合わせて歌い
咲き誇る花畑の祝福に踊り
時折、立ちはだかる岩に衝突して
清冽な飛沫をあげながらも
木漏日を浴びて虹を描く
青春のように
装丁・君島真理子 B6版並製ソフトカバー装 72頁