俳句という極小の文藝が内包する豊饒な宇宙。
俳句と共に歩むことは言葉の無限の可能性を信じることである。
感性豊かにつづる俳句への讃。
これからの俳句がどのようになってゆくのか、遠い将来のことは予測がつかない。過去の遺物としてわずかな作品だけが残るということになるかもしれない。しかし、少なくとも私が生きている間にそう急激に状況が変わるとは思えず、将来のあるべき俳句の姿を考えるなどということに私の関心はない。私は、これからの限られた時間で自分がどれだけの俳句を作れるか、正直なところそれしか考えていない。虚子の枯野の句が色褪せない限り、私は一生かかってその一句を超える叙景句を作り出すことを目標とするだけでも、俳句を作りつづける意味があると思う。
(本文より)
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[かたやまゆみこ(1952〜)「狩」同人 俳人協会幹事 日本文芸家協会会員]
装丁:スタジオ・ギブ 川島進
四六判上製
268頁
1998.07.17刊行