◆第三句集
重厚にして平明
そして清雅な抒情
コスモスのまだ触れ合はぬ花の数
大海の端踏んで年惜しみけり
◆自選十三句より
うとうととしてかたくりの花ふえて
雛飾る誰のものともあらぬ雛
瑞牆山を空に置きたる菫かな
一瓣にして酒中花のまぎれなし
霞むならこの山のこの木の下で
枝あげてあげて白桃咲きにけり
向うにも老人のゐる春の暮
春眠に屈し春愁にも屈し
烈風の枝ことごとく桐の花
走り茶の針のこぼれの二三本
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[いしだかつひこ(1920〜)「泉」同人 俳人協会評議員 日本文芸家協会会員]
四六判並製
164頁
1999.09.01刊行