ここに『花おぼろ』の続篇とも、姉妹篇ともいうべき『花あかり』が上梓される運びとなったのは、まことに喜ばしいことである。
智惠子さんの意欲的姿勢とご努力に心から拍手をお送りしたい。良戈先生の四冊の句集と、智惠子夫人の二冊の随筆集は、まさにご夫婦の素晴しき日々の歴史であると言っていい。
(序より)
先日久し振りに兄や、妹たちに会った。それぞれの思い出を話してみると兄にとって母は、「シューベルトの子守歌」だと言い出した。
眠れ 眠れ 母の胸に
すぐに皆でコーラスになった。
そういえば小さかった頃は、お風呂でよく二部合唱をした。母の膝に抱えられ髪を洗ってもらいながら、母はメロディーと下のパートを教えてくれた。「ロング・ロング・アゴー」や、古い不思議な昔の歌を二部でハーモニーをつけて歌ったものである。
(「父と母」より)
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[すずきちえこ(1929〜)]
序:都筑智子
装丁:上谷昌憲
A5判上製カバー装
158頁
2005.06.29刊行