◆第一句集
この作者の文体の特色は、岳人の息づかいが俳句の気息と合して結果的に韻文性を強めているところにある。
(序より)
◆帯選出十句より
苗運びすれ違ふとき苗を見て
母と子にめつきりふえし春の星
残り鴨胸やはらかく混み合へり
火取虫ぶつかり合ひてふえにけり
部屋いくつ通りすぎたる夏料理
種袋しばらくは地に置かれけり
茄子苗のおほひつくせる荷箱かな
毬栗にささつてゐたる朽葉かな
万緑の中よりちぎる一葉かな
見つめがちなる榾の火を囲みをり
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[にしがいゆみこ(1956〜)「泉」同人 俳人協会会員]
帯・序:綾部仁喜
装丁:君嶋真理子
カバー写真:大川健三
四六判変形上製
130頁
2005.05.27刊行