◆第一句集
この作者も”そぞろ神”に取りつかれた一人である。実によく歩いている。そしてそういう歩行の中から
形代の小さな顔を流しけり
の一句を得て、これが俳人協会俳句大賞を受賞することになる。まごうかたない歩行の成果である。
(帯より)
◆帯選出十句より
一群の真中に下りし鶴の脚
遍路杖さしこむすきのありにけり
雪掻いてある花嫁のまはりかな
だんだんに傾いでゆきぬ土筆摘
形代の小さな顔を流しけり
初猟のまだあたたかき握り飯
身の秋やひとつふたつと水跨ぎ
あからさまなる恋唄に踊るなり
展かれて熊の目二つ並びけり
ほどかれて水の匂ひの鵜縄かな
*
[おおさかれいこ 現代俳句協会会員]
帯・序:綾部仁喜
装丁:君嶋真理子
四六判並製フランス装
180頁
2005.06.25刊行