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◆ 第三句集
落椿よりはじまれる大干潟
大胆な発想、句姿は平明にして自在。「新は深なり」の境地をめざす。前句集『鴨鍋のさめて』に次ぐ第三句集。一〇年間の作品三五三句を収める。
ざざ虫の佃煮つひに届きたる
茶筒ぬく音に末枯れ初めにけり
ぽつてりと没日ありたる出水村
雛あられちよつと揺すりて飾りけり
船屋より船屋へ入りし春の猫
葬つて来し手ばかりの焚火かな
驟雨灯せる宝塚大劇場
魚籠のぞき今日の暑さの始まりぬ
ががんぼに次々ありし寺柱
装丁・君嶋真理子 四六判フランス装 200頁
●著者略歴
昭和19年大阪市北浜生まれ。平成8年「火星」主宰就任。俳人協会会員、日本文藝家協会会員