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第20回俳人協会賞新人賞受賞!
天性の俳人
のびやかに、ういういしく、そして爽やかに
石田郷子氏の句はどれも、単純すぎるくらい単純な姿をしている。かかる単純さは、方法的に実現されたものというよりも、郷子氏のまなざしの性格、つまり心のありかたから生まれたものである。
韻文的な弾性に富むことが、郷子俳句の最大の魅力である。作品の若々しさには、一種の普遍的性格すら感じられる。
(千葉皓史)
◆自選十句より
来ることの嬉しき燕きたりけり
背泳ぎの空のだんだんおそろしく
大粒の涙のやうに木の実落つ
眠るとき銀河がみえてゐると思ふ
春の山たたいてここへ坐れよと
春潮を胸のたかさと思ふとき
四万六千日ももいろのはとの足
滴りの消しゆくもののかたちかな
虫の闇だまつて通る虫のあり
思ふことかがやいてきし小鳥かな
*
[いしだきょうこ(1958〜)「木語」同人 俳人協会会員]
序:山田みづえ
四六判並製
192頁
1997.04.15刊行