◆ふらんす堂女流俳句叢書
雲の峰上手に死んでやろうかな
自在讃々
(栞より)
◆収録作品より
欄干の下に黒猫寒い冬ですね
景色あり藁いろの風邪うつりさう
首の骨より幻想ひとりあるきして
シベリヤとステンドグラス寡黙なり
日脚伸ぶ吾が?骨に手をやれば
樹の闇と白壁息を殺しをり
右眼左眼ざわめいてゐる死者の国
まんさくの花の前世は火吹竹
わたくしの影ふはふはと坐りだこ
羽音して恋のはじめの坐りだこ
*
[くりばやしちづ(1910〜)「船団」会員]
栞:宇多喜代子
装丁:スタジオ・ギブ 川島進
B6判並製フランス装函入り
184頁
1995.07.20刊行