◆21世紀俳人シリーズ
◆第三句集
草も花も木も石も人の心もすべて移ろいゆく。とどめる術はない。その流れのなかに、今、私は生きている。そして俳句を作っている。なんということだ。
(帯より)
◆収録作品より
はじめから赤い花なら春の夢
何の芽か知らぬ芽ぞくぞく東京都
葱坊主真顔の男ばかりなり
気を抜けば蜃気楼様お出ましに
かきつばた両手組ませて鎮めたり
貌鳥や喪服が似合い妻盛ん
五分間とは豆筴の嵩のこと
荒塩をパッと放てば青葉山
亀鳴くと双の乳房に墨を入れ
水の香の老人と行く春の国
*
[なるとなな(1943〜)「琴座」「豈」同人]
栞:原満三寿
装丁:スタジオ・ギブ 川島進
四六判上製カバー装
176頁
1996.08.18刊行