◆21世紀俳人シリーズ
◆処女句集
由美作品は、いまや誓子の膝下から離れ、自立した一俳人の俳句として読まれるときが到来した。
(序より)
◆収録作品より
曼珠沙華ガラスの花器を厭ひたり
流星の消ゆる命よ吾もらふ
空瓶の山の中より虫の声
官有林多き十和田の紅葉濃し
前世にも会ひたる如し霧の中
街を出て高きところへ行ける月
稲妻の射手になりたし一度でも
流燈を河口の橋で見納める
もの言はず来てもの言はず魂帰る
変電所無数の柿が生りゐたり
*
[かだゆみ(1945〜)俳人協会会員]
栞:茨木和生
序:澁谷道
装丁:スタジオ・ギブ 川島進
四六判上製カバー装
208頁
1994.09.20刊行