◆ 第一句集
父謹一郎(俳号阿公)は、平成十六年十月二十七日百一歳の長寿を全うしこの世を去り早や一年が過ぎました。父が一歳の時、祖父岩次が日露戦争で戦死し、以来母一人子一人の母子家庭の中で育ちました。やがて教職につき三十有余年の間、平鹿、仙北の小中学校に勤め、宇津野小学校(現大仙市)を最後に退職しました。その後は公職には一切つかず雑誌「大法輪」を愛読する傍ら?句と囲碁に明け暮れる日々でした。モットーは「不動不到」で、まさに、動かざれば到らずの自分の生き方を表わしたものでした。 (まえがきより・鎌田恭子)
惜しまれて逝く人美しき草紅葉
ダム底となる一村の春惜しむ
野菊咲く少年の日の河港
梅雨空を啼きゆく鳥の名は知らず
えごの花匂ふいつもの散歩道
装丁・君嶋真理子 四六判上製カバー装 240頁