◆第二句集
五十年 長いようで
終ってしまえば一瞬のことになってしまいました
死と言う訣れはあっけなくやって来るものです
何れ来るものですがそれが現実となると
考えられないくらいに辛く厳しいものでした
多恵の悲しい記憶と
悲しみの記録としての句集です。
(帯より)
◆自選句より
この道のこの風が好き萩の花
長病みの己励ます暮の秋
老いたればなほなつかしく里の秋
小春日の何と幸せ木のベンチ
春休みどこか遠くへ行きたいな
(多恵)
新緑や奇蹟を願ふ日々であり
やせ細る妻懸命の夏の息
精一杯生きしなきがら梅雨の冷
思ひ出に生きるのみかや盆悲し
朝涼や今日はどこまで妻の旅
夜の星いづくに妻の星やあらむ
亡き妻は旅と思ふぞ月見草
(棟太)
*
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装グラシン巻き
96頁
2006.11.05刊行