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◆ 第一句集
「風鈴の鳴ること闇が拒むなり」風鈴の涼しげな音色さえも拒む熱帯夜を活写。このように読者の共感を呼び、興奮させる作品集が『恵方』である。
(帯より・鷹羽狩行)
薄氷の青味を帯びて暮れにけり
波がしら立つとたためる日傘かな
一瞬に散りて涼しき稚魚の群
原爆忌草さまざまな影を生み
いなびかり平家滅びし海を掃く
月光が音たてて寄る渚かな
稲架解かれいよいよ遠き四方の山
秋すだれ旧街道はすぐに尽き
薪割つて木の香のほのと今朝の冬
冬耕を天職としてふり向かず
302句を収録した句集。
鑑賞三句・序句・帯 鷹羽狩行 跋文・有山八洲彦
装丁・君嶋真理子 四六判上製カバー装 192頁
●著者略歴
本名・雅治。昭和16年広島県庄原市生まれ。昭和42年広島大学医学部卒業、医学博士。昭和58年恵生会病院院長。昭和61年医療法人恵生会理事長。平成9年「狩」入会。平成11年「朱雀」入会。平成13年朱雀同人・同編集長。平成16年俳人協会会員。平成17年狩同人