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近所に住む鈴木みのりは、律儀このうえない主婦です。ところが、この律儀なみのりの俳句が、このうえないほどにおかしくて楽しいのですよ。
「金魚一匹自転車に乗って来た」「泣く鉄人28号明易し」「師の影をしっかり踏んで春の雪」「海の日をネクタイ青く出勤す」「冬銀河パンツのゴムを替えている」
ほら、愉快な俳句でしょ。長く俳人をしてきた私ですが、「俳句ってこんなに楽しいのだ」と、今、とてもいい気分。坪内稔典(帯より)
みつ豆のぷるんぷるんと雨上がる
金魚一匹自転車に乗って来た
木枯一号飼猫を首に巻く
男達は戦争が好き父子草
春は曙都心回帰のコッペパン
泣く鉄人28号明易し
芭蕉翁蕪村暁台桐の花
ボタン穴一つずれたる星月夜
海の日をネクタイ青く出勤す
母届く一月のバス乗り継いで