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◆ 第一句集
「頬の蚊をぴしやりと打ちし泥手かな」「銭洗弁財天の蚊に刺され」どの句も、三重さんの気取りのない真面目な人柄と、ヒューマニズムに裏打されたおかしさが、ほのぼのと漂っている。 (序・行方克巳)
最愛のご主人・貞雄さんを思う情に満ちた三重さんの句集を読むことは、夫をなくしたばかりの私にとって、つらいことだった。しかし、読み進むにつれ、ご主人の導きによって俳句に出会った三重さんが、今も亡き人と共に歩み、共に足をとめて句帳をひらいている姿が見えて来る。その姿勢にはげまされる思いがするのは私だけではあるまい。 (帯・西村和子)
襟巻を嫌ふ人なり出てゆける
なにもかも展墓も独りそれもよし
人並に黄落闊歩してをれど
あれもこれも聞かず終ひや根深汁
句集の萩咲きましたねと立話
序文・行方克巳 帯・西村和子
装丁・君嶋真理子 四六判並製小口折表紙 236頁
●著者略歴
大正10年新潟県長岡市生まれ。昭和55年「若葉」入会。平成5年「蘖」入会。平成8年「知音」入会。現在、知音同人、若葉誌友。俳人協会会員