◆第一句集
初鶏や三年妻とし火を育つ
元来俳句は客観写生・即物具象を旨としているのに対し、彼女の句は叙情性豊かな句が多く見受けられるが、これはむしろ女性の句として好ましいことではなかろうか。
(帯より)
◆自選十句より
たぐる葛葉裏ぞろぞろ山を這ふ
稲刈りの疲れごといれ脱衣籠
ゴンドラにせり上がり来る山つつじ
木枯に如是姫うすき日を捧ぐ
行く雁の三羽四羽五羽もうごはん
ががんぼの影あるごとく無きごとく
?子忌と思ふ氷菓を口にして
まだ頼り甲斐なき座り茎の石
しろがねの光となりて沙羅芽吹く
花野吹く風にも色のあるごとし
*
[くろだゆりこ(1929〜)]
帯・序:古宮徹
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
212頁
2006.12.10刊行