◆第二句集
空蝉の雨の器となりにけり
第一句集「汽水」を出版して、十年が経った。その間の忘れられない出来事といえば、身近な人々が多く鬼籍に入ったことだろうか。共に語ることのできなくなった想い出は、消えることはないけれど、ただ寂しく漂うばかりだ。
「雨の器」には、人以外の生き物の句が多い。命の儚さへの思いを、彼らの短い生に託したのかもしれない。
(あとがきより)
◆収録作品紹介
端のみに音のありたる緑雨かな
顔寄せて私の息と百合の息
肩までを毛布に入れて夢を待つ
半畳の机仕事や二月尽
立子忌やけふ生れしごと句は光り
黴の香の緞帳閉ぢて楽日かな
細胞は死につつ生まれ春の月
新走りつまみを少し紙にのせ
ひと日ごとひとを想ひて菊枕
何にでもなれる明日や初日記
Amazonでの本の購入はこちらより→ Amazon
[ますおかぐみ(1957〜)「玉藻」同人]
装丁:三橋光太郎
A5判変形半上製カバー折り装
204頁
2025/11/25刊行