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◆ 第一句集
本書『國上』は、分水氏独特の強腰の句集である。本書はすでに優に実り豊かな句集であるが、常濡れの蝮の間合ひ跨ぎけり右の句のような、物のかたちのみならず目に見えぬ霊気のようなものまでも感知し得る分水氏の今後は、ますます豊饒であるに違いない。 波戸岡 旭(序より)
●自選十句の中から●
良寛がいつ良寛に芹の水
空海忌山よりあまた貝の殻
夕映えがうしろにありし扇かな
一遍も翁も乞食(ほいと)ひような汁
雨音の後れてとどく真菰刈
序文・波戸岡 旭
装丁・君嶋真理子 四六判上製函装 196頁
●著者略歴
本名・丸山宣幸。昭和16年12月8日生。新潟県出身。高校時代、俳句に手をそめ地元紙俳壇欄で加藤楸邨の選を受ける。その後、中断。平成元年ころより「寒雷」および楸邨系の結社遍歴を経、平成11年秋、相前後して岡井省二・波戸岡旭に邂逅、師事。本格的に俳句を志す。「天頂」編集同人、「貂」同人、「梟」同人。俳人協会会員