◆百首シリーズに土屋文明が登場!
近現代短歌を生きた百年。
◆内容紹介
白き人間まづ自らが滅びなば蝸牛幾億這ひゆくらむか
(『青南集』)
〈人間という白く脆弱な存在が原水爆で自滅したならば、その後は幾億もの蝸牛が這いゆくのだろうか。〉
「蝸牛(かぎゅう)」はかたつむり。昭和二十九年三月アメリカによるビキニ環礁での水爆実験により、漁船第五福竜丸が被曝、乗組員一名が死亡。人々を放射能雨の恐怖が襲った。「人間の恐るる雨の中にして見る見る殖えゆく蝸牛幾百」と事実に沿って歌い、次にこの歌で戦慄的な幻想に飛ぶ。数年後、レイチェル・カーソンは『沈黙の春』で、農薬汚染により他生物が死滅した地に、蝸牛だけが這い回る様子を記した。この二つの地獄絵は相似形だ。
Amazonでの本の購入はこちらより→ Amazon
ご本の紹介→ (ふらんす堂「編集日記」)
[かわもとちえ(1962〜)「塔」編集委員]
装丁:和兔
四六判変形並製カバー装
220頁
2025/10/13刊行