◆第二句集
鳥わたる湖は地球のにはたづみ
七年間の作品を精選し、新たな思いで臨む珠玉の句群。
自らの実感と言葉を織り交ぜ、言葉の「窯変」に挑む。
「爽樹」創刊十五周年を記念しての第二句集。
◆自選十二句
夜業終へ詩人に戻る終電車
櫓を漕げば楽の生まるる良夜かな
すべきことすべて為し遂げ山眠る
美ら浜を歩めば痛し沖縄忌
あしたには島を出る子ら卒業す
鳥わたる湖は地球のにはたづみ
うつし世の塵を浮かべて水澄めり
夕暮は明日の入り口桐の花
ぶな林のゑくぼのやうに木の根明く
せせらぎはよろこびの音犬ふぐり
バンザイは訣れのかたち夏怒濤
吟遊の師のゆく影か梅雨の蝶
[かわせとしひこ(1943〜)「爽樹」名誉顧問]
装丁:君嶋真理子
212頁
2025/10/7刊行