●第二句集
妖精の降りたるやうに福寿草
福寿草には白山市松任地区の松任芽と云う早咲種がある。人を思い故里をこよなく愛した半生を松任芽に例えるに異存はない。これはその結実の一句である。
帯:中西石松
◆自選十二句
冴返る木地師の壁の鑿鉋
空蝉の風に吹かるる一揆道
鳥渡るきみのブローチ光るとき
如月の潮満ち来たる能舞台
あぢさゐに溺れてしまふ昼の月
この村に母生き抜けり青田風
ゲルニカの課外授業やパリの夏
白山の水の香りの梨を剥く
薔薇の風ゆつくりと干す濯ぎもの
白杖の人の手を取る秋の蝶
きちきちの足美しく棲みつきぬ
花筏文書くやうに続きをり
Amazonでの本の購入はこちらより→ Amazon
[もりえつこ(1948〜)「雪垣」同人]
序・帯:中西石松
挿画:西のぼる
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
210頁
2025/09/30刊行