◆第一句集
頑丈である。そしてときに繊細で華奢なたたずまいを見せる。
板倉ケンタの作品を前に私はしばし立ちすくむ。なぜなら、読者に挑み、読者をときに選ぶからだ。しかし、もしもそれがケンタの望むところなら、いいだろう、私は受けて立たねばならない。
帯・櫂未知子
跋・佐藤郁良/解説・村上鞆彦
◆筏井遙抄出七句
七人が水着に変はる昼の樹下
つつぬけに花見えてゐる飼屋かな
松手入うしろに暗い玉葱が
氷上と氷中同じ木のたましひ
ある日こまやかに木犀見ゆるなり
海風に失ひながら葺き替ふる
はぐれ引くあれは貴方のやうな鶴
◆岩田奎抄出七句
雪よりもつめたき雨にかはりけり
颱風が来るよ野鼠街鼠
絶えず強光やはらかな蟻の中までも
此処は死者ばかり名残の百日紅
今もある硬くて寒いとしまえん
永遠に絶えぬ瀧音のなか眠る
水辺さはやかに枯れてゐるのは誰
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[いたくらけんた(1999〜)「群青」「南風」所属]
帯:櫂未知子
跋:佐藤郁良
解説:村上鞆彦
装画:沼尾将之
帯抽出七句:筏井遙・岩田奎
装丁:山根佐保(ream)
四六判並製カバー装
212頁
2025/10/01刊行