◆第四句集
蘆は小さな芽のときと花ひらくときに、ほんの少し赤い色を見せてくれます。
蘆という植物はどうやらその髄に赤を秘めているようです。
詩情とはそのようなものかもしれません。
(あとがきより)
◆作品紹介
鳰小暗き水を食みこぼす
蘆の角王子のごとく立てりけり
さくらちる土を作つてゐる人に
鯊釣に夕風長くなりきたり
竹の葉の黄ばみ冬至の日を通す
ねむる子の足見えてゐる桜かな
読む人のまはり冷んやりしてをりぬ
ゆふぐれのありとしもなきゆきぼたる
その辺を軍手で拭ひ桃の花
海山に酒を垂らさむ裕明忌
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[たいなかいずみ(1956〜)「秋草」所属]
装丁:君嶋真理子
四六判仮フランス装
210頁
2025/06/25刊行