◆第一歌集
この闇のむかうの闇に昼も夜も続々のぼる若鮎らゐる
短歌を再開して十五年、妻の死から五年。これまでの歌をまとめてみました。
(あとがきより)
◆作品抄出
陽光にわが内部(うち)までも照らされぬ拠り所などなきが如くに
天空より来たりしものか空の青翅につけたる青条揚羽
人と人寄り添ひながら灯しをり闇に潤める盆地のあかり
風に乗り鋭き視線地に向くる鳶は今でも狩猟生活
しあはせは君と過した日々のことその頃それをさうと思はざりき
弱りゆく妻の介護をせし日々よ喪ふことを怖れし日々よ
[さとうてるお(1950〜)]
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装
104頁
2025/06/30刊行