◆第二句集
いのちあるかぎり蒔くべし花の種
上野澄江さんの俳句は、季語を大切にする正統派で、句の佇まいはいかにも古都・金沢によく似合う。
ときに哀感を忍ばせ、ときに諧謔で待ち伏せする。
序に代えて・中上哲夫
◆自選十句
朴落葉鴉が踏んで裏返す
里唄は恋の唄なり胡麻の花
囀れり芭蕉旅発つ日のやうに
緋牡丹をゆらりと映す水を飲む
墳丘に羅立てり卑弥呼めく
大花野死は遥かともいよよとも
われ病めり蛇のぬめりを負ふごとく
化粧する雪のほむらをまなかひに
たまゆらの命ぞ蜂に刺されけり
夫いつも腕くんで見る白牡丹
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[うえのすみえ(1941〜)「百鳥」同人]
序に代えて:中上哲夫
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
192頁
2025/06/01刊行