◆第二句集
声立てて笑へば山の笑ひけり
谷ゆう子という俳人の従来になかった詩境というものを感じる。句作の方向性といっていいと思う。全体に明るく、どこかにユーモアがのぞく。進むべき俳句の道を自得したと思う。
跋・鈴木しげを
◆自選十句
呵呵と笑ふ面ふとかなし壬生狂言
母の忌や掌に清秋の志野茶碗
流れには乗れぬ椿の二つ三つ
踊りの手月に触れたり離れたり
虫の夜や己小さくなるばかり
寒雲の縁の金色夫逝きぬ
鶯餅たれか遊びに来ぬものか
東入ル西入ル京の初つばめ
百合一花句座に悦子の現れず
昨日来て今日去ぬる子やつくつくし
[たにゆうこ(1945〜) 「鶴」「四万十」同人]
跋・鈴木しげを
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
228頁
2025/06/08刊行