◆第五歌集
湿原の入口に咲く鳥兜その青深く触れがたきかも
この集は、二〇一〇年秋から一七年秋に至る七年間に制作した短歌作品を収める。
わたしの第五歌集で、年齢でいうと、五十九歳から六十六歳までの作ということになる。
(あとがきより)
◆収録作品より
水銀のやうな父かも芒穂のなかゆくときに天を見上ぐる
夜の九時に始まるピアノ演奏かしづけき湖の灯きらめく
月のぼり天空蒼しわれひとり樅の片へに佇ちて見てをり
裏庭に水仙の花並べるはそこより優しき波か生れまし
杜かげに立ち上がりゆく御柱樹樹の青葉の風香りくる
降らぬまましづけく暮れて夜となり潦には星ともり初む
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[ちのしんじ]
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装
172頁
2025/04/29刊行