◆第四句集
亡き父を諭してゐたり盆の母
この句集は掛井氏より父への思慕と母への感謝を綴った唯一無二のオマージュである。
跋より・中尾公彦
◆自選十五句
交番に迷子の父や夜の新樹
滴りに空の一滴紛れけり
流木に長居する石大旱
秋の蝶トランプを切るほどはゐず
棺行く先に小春の鉄扉かな
拳にも小さき稜線寒波来る
紙漉の水の表を使ひけり
落葉舞ふ風にも端のあるらしき
マスクして東京遠く人遠く
父死後も同じ一月二月来る
一曲を奏でよ雨のかたつむり
しんがりに母と着く墓蝉時雨
母の字の傾く先に夏と我
亡き父を諭してゐたり盆の母
母の杖秋風追はず蝶追はず
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[かけいひろみち(1963〜)「くぢら」同人]
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装
230頁
2025/04/29刊行