◆第二句集
木洩れ日で洗う五月の裏側も
子どもの頃、空が凧を引っ張り上げてくれたあのグイッという手応えと同じ感覚。
川柳に「遊びにおいでよ。」と誘われたような……。五七五の向こうに広がるもう一つの世界を行ったり来たりしている。
(あとがきより)
◆自選十句
朝露の一滴 長い夢だと思う
分館へ運ばれてゆく月の暈
砂漠なら昨日たたんでおきました
きょうから春 空にうっすら発効日
暗澹を抱え胡桃の洞の中
梅として言っておきたいことがある
夕焼けはオムライス式崩れ方
気をぬくと夜空になってしまう髪
体内に月の木のある部屋ひとつ
その次の空にもあった非常口
[にしだまさこ「ゆに」副代表]
装丁:君嶋真里子
四六判並製カバー装クータバインディング
140頁
2025/03/31刊行