◆童話、戯曲、詩劇、随想、評論、詩、俳句、短歌…
91歳の著者が過ごした「昭和」という時代を様々な形式で描いた意欲的な一書。
やがて歴史の一齣となってゆく昭和への鎮魂と愛惜の思いで描かれた自然と人間の共生、戦争によって生き別れた恋人や家族の絆。どの篇も、どこか懐かしい昭和の香りがする。
◆作品「麦の穂」より引用
又六「わしは医者からもう一年のいのちと言われておる。お前たちに言うても詮無いことじゃが、もう何年も前に記憶を失うて彷徨い、この粉挽き小屋に辿り着いた。その時離さず持っていたのが、この鼠の貯金箱じゃ。昔のことは何も思い出せぬが、この中には、わしの過ごしてきた頃の思いが、一杯詰まっているような気がする。この世は空気だけではのうて、息づくものの思いにも満たされとる。そこには、喜びや悲しみの気持も生まれよう。だがどんなことであれ思うことで心が癒される。それができるのは、生きているものだけの倖せじゃ。だから、わしの思いと心を満たした、この貯金箱は、最後まで大切に
しておこう。」
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[おかやまはるよし(1933〜)]
装丁:和兔
四六判ペーパーバックスタイル
238頁
2025/02/20刊行