◆第一句集
朝蟬や通天閣に月のこる
朝月の下に通天閣を望み、平安貴族が都から熊野詣に向かった古の熊野街道を歩き、年の湯に四天王寺の除夜の鐘を聞く。
大阪の歴史が、三佳さんの日常の作品にさりげなく顔をのぞかせる。
序より・小川軽舟
◆小川軽舟抄出十句
毛糸編む恋の終ひは吾が決めし
父の手の胡桃しめつてゐたりけり
手術台雪の記憶に墜ちてゆく
明け方の枕のくぼみ西鶴忌
うすらひの溶けたる魚のなみだかな
熱燗を口がむかへに行きにけり
松高く大華厳寺の門涼し
さくさくと葱をきざみて考へず
初時雨母の重さの腰にくる
顔捨てて坐りし男暦売
Amazonでの本の購入はこちらより→ Amazon
[さたけみか(1959〜)「鷹」同人]
序:小川軽舟
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装
194頁
2024/12/25刊行