◆第四句集
四万六千日布目から雫
平成二十四年より令和五年までの作品の中から三三一句を選び一集としました。布目から雫が落ちるように一滴ずつが一句となってあれやこれやと語ってくれたらと願っています。
◆自選十五句
どくだみを刈る香交遊録のなか
蕊の粉払ふ黒船祭かな
鼻に汗太古のベルト穴数へ
地虫鳴く油の表かきまぜて
鉦叩き三角巾を吊りつらね
牡蠣すする古煙突をときどき見
躓いて地面が近しクリスマス
影法師枯あぢさゐにかぶさりぬ
釦嵌め忘れたやうなしぐれかな
枯葎からだで割つて母を恋ふ
干し蒲団襲ひにきたる松の影
数の子を噛めば金銀鳴るごとし
明日葉や連弾域を犯しあひ
はくれんに腐るはくれん引つかかり
虻唸る錦糸卵が飯塞ぎ
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[なかむらたかこ(1945〜)「銀化」第一同人同人]
装丁:和兔
四六判上製カバー装
204頁
2024/12/01刊行