◆第一句集
どうして春が来るの
どうして春になるの
こどものころから
ずっと不思議だった
いまは思う
草も鳥も海も風も
赤ちゃんも
星になったひとも
懸命に春になろうとしている
(著者)
◆自選十句
料峭やかはりばんこに麺麭を抱き
鳥の恋伎芸天女の闇うごく
父のなき父の田圃の春景色
花満つやこの世に誰もゐなくなり
涼しげに子を産むちから誇りけり
ゆふやみの底に夕焼の千曲川
金閣寺水かげろふに灼けにけり
名月を呑みたる海のあをあをと
小春凪暮るれば胎へかへるとき
聖夜へと入りゆくテールランプかな
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[みやざきひろし(1951〜)「春燈」主宰]
跋:三上程子
装丁:君嶋真理子
四六判半上製カバー装
206頁
2024/11/10刊行