◆第四句集
人間の影こそ荊棘夜の秋
地球温暖化による自然災害、さらにコロナ感染拡大と世はまことにおどろおどろしい。
◆自選十五句
張子の岩は燻銀なり初芝居
深海魚渚に崩れ春暑し
激震の断層に垂れ蚯蚓かな
大凧の骨の刺りし砂丘かな
*インドネシアにて
鮫撃つ銛砂に睡らせ梯梧咲く
稲雀大き一羽となりて飛ぶ
夏場所の鬢付油匂いたつ
舟板に蛸の吸盤乾きおり
大寒の畑と磧の境消ゆ
台風のまん中に垂れ自在鉤
鱶吊られどどと夏潮垂らしけり
ギリシャの島にて
檸檬のみ巨大なりしよ神の島
掌の現れて菊人形の髪を梳く
ランボーも月の輪熊も撃たれたり
海底に白き蟹群れ良夜かな
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[(1942〜)「陸」主宰]
栞:堀田季何
装釘:間村俊一
写真:鬼海弘雄
A5判上製カバー装
166頁
2024/11/26刊行