[立ち読みする]
◆ 第一句集
「夫のため生きむ月日や寒の紅」「夫のため」と言い切っているところに、夫に対する主観が強く述べられ、日本のよき時代の女性像を彷彿させる。「寒紅」という的確な季語により健気な作者像が大きくクローズアップされている。(序より・椎名智惠子)
「澪」に入会したのが平成九年の秋、現在は「澪俳句会」のグループである「みづきの会」「ふたばの会」「発行所句会」などに所属し、澪同人として、また一人の俳人として真摯に俳句と向き合い研鑚を積んできた著者の第一句集。
一人居の母に茶柱あたたかし
白鳥の帰る昨日は振り向かず
多喜二忌の海に父の背見失ふ
一片の落花は風の万華鏡
大夕焼つづれ織なす日本海
みづいろの風の手櫛や青岬
鈴虫や少し開けおく母の寝間
望郷の谺とどかず根雪来る
夫のため生きむ月日や寒の紅
クリスマスカクタスあふれ誕生日
序文・椎名千惠子 題字:木村敏男
装丁・君嶋真理子
四六判変型上製カバー装(117×188) 192頁
●著者略歴
昭和13年樺太真岡町に生まる。平成9年北海道新聞文化センター俳句講座にて木村敏男先生、椎名智惠子先生に師事。同年「澪」「にれ」入会。平成15年第二回「澪」俳句大会大会賞受賞。同年第23回「にれ」新人賞受賞、「にれ」同人。平成16年「澪」同人。平成18年第39回北海道俳句協会賞佳作受賞。同年札幌市民芸術祭優秀賞受賞。現代俳句協会会員、北海道俳句協会会員