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◆ 第一句集
「ときどきは富士に顔上げ袋掛」富士山の見える町で生まれ育った作者ならではの、 富士に寄せる深い思い。言葉の斡旋が見事で、イメージを大きく広げ、豊かな世界を作り上げている。
(鷹羽狩行・帯より)
聞き馴れし声に振り向き除夜詣
次の間に墨の香流れ夏書かな
制服のままに寝落ちし受験生
怒りはや肩より抜けて籠枕
来ぬ人の空席に置き夏帽子
火の山へ勢ひ余り厩出し
しばし目を癒すさみどり吊忍
早苗饗の鍋ごと出され山の幸
前ぶれの背中より来る風邪の神
北窓を開きて耳も目も聡し
(鷹羽狩行抽出)
●著者略歴
昭和32年4月18日静岡生まれ。平成6年「狩」入会。平成14年狩同人。弓賞(特別作品賞)。平成15年俳人協会会員