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◆ 第二句集
「風過ぎしごとくに去りて黒揚羽」「神饌の対の鮑がむつみ合ふ」「山中の時きざむごと滴れり」どの一句をとっても、現実を踏まえた、静かな語り口の作品である。その上、自然への清らかな感受性が随所に見出されて、味わい深い。著者が西宮美智子さんとわかれば、誰もが納得する句集。(帯・鷹羽狩行)
「穂絮」に続く第2句集。「狩」入会後の平成6年から17年までの作品、300句を収録する。
一木をゆるがすごとく蝉鳴けり
天井に吊るもの多し葭簀茶屋
はらからの声にふくらむ盆の家
しなやかに十指を抜きて黒手套
煤逃げの思はざるもの買うて来し
破魔矢持ち幼な児はもう脇見せず
日当りてこその紅葉と思ひけり
台風の去りて人声して来たる
陶片を踏めば音して春隣
序句・帯 鷹羽狩行
装丁・君嶋真理子
四六判上製カバー装 172頁
●著者略歴
昭和4年2月26日奈良県生まれ。昭和23年帝国女子薬学専門学校卒業(現大阪薬大)。昭和35年「天狼」入会(昭和63年会友)。昭和53年三重県俳句協会年間賞受賞。平成元年第一句集『穂絮』(桜楓社)上梓。平成5年三重県俳句協会理事。平成5年「狩」入会。平成11年狩同人。平成12年俳人協会会員。平成17年守武祭俳句大会選者