◆第三句集
中断の会議再開秋扇
「秋扇」という季語の斡旋がじつに良いと思う。なぜ中断していたのか、そもそも何の会議だったのかなど何も言っていないのだが、中断を余儀なくされていた会議が再開されたもののすんなりは進んでいないのではないかというような雰囲気を「秋扇」が語っているのである。
栞より・片山由美子
◆自選十句
春雨の降るとはなしにあがりけり
風車風来る前に回りだし
学校に工事が入る夏休み
中断の会議再開秋扇
新米やおとぎ話を語り継ぐ
祖母といふ若きわが妻七五三
炒り豆の跳ねて飛び出す寒明忌
冠雪の山ことごとく神となる
解散の樺太会や花吹雪
余寒なほすぐに冷え切る貰ひ乳
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[わたなべあきら(1947〜)「香雨」会員]
栞:片山由美子
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
210頁
2024/07/17刊行