[立ち読みする]
◆ 第一句集
「薔薇「宴」刻をとどめて咲きてをり」著者宮川みね子さんの玄関先に一株の薔薇がある。宴である。四季咲きであるが、ことに五月には美しい真紅の大輪の花を数多く咲かせる。時の流れは一瞬も止まることはない。しかし、ものごと沸点に達したとき、時の流れは瞬間的に空白になる。本句集は、やさしく爽やかに熱く“今”の一句に生きる著者のささやかな自祝の宴である。
(帯より・神 蔵 器)
夕焼の濃きなか戻り髪洗ふ
万太郎へ五月舟和のいもやうかん
背を灼いて太宰治の墓に佇つ
火じまひをして曼珠沙華果てにけり
案山子立つ平泳ぎなど思ひつつ
雲の中に鳥のこゑあり寒に入る
かげろふの笑ひ止まざる中をゆく
初燕きれいな肺を二つもつ
天平のいろに御衣黄さくら咲く
装丁・君嶋真理子 四六判フランス装函入り 220頁
●著者略歴
昭和43年「風土」入会。昭和53年新人賞受賞。昭和55年桂郎賞受賞。昭和57年風土賞受賞。俳人協会会員。風土竹間集同人