◆第四句集
第四楽章の余韻や夜の花吹雪
人間が人間らしく生きることを願い俳句に詠むことは特別のことではなく極めて自然な創作行為であろう。
あとがきより
栞・山下知津子
◆山下知津子十二句抄出
遠汽笛夜明けの霧の青みたる
グラスの縁なづれば音や枯木星
天狼に見つめられつつ老いにけり
国深く病めりと記す初日記
夕立の白き闇なす故郷かな
すさぶ世の影の行き交ふ秋の暮
木菟啼くや闇がふくらみまた縮み
灯を消しぬ欅の芽吹き思ひつつ
これは何それ喉佛霜のこゑ
枯葎見るべきほどのこと未だ
麦熟るる頃ふるさとを捨てにけり
狼祀る一峰暗き片時雨
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[なかじまきこく(1939〜)「禾」創刊]
栞:山下知津子
装丁:君嶋真理子
四六判フランス装カバー掛け
192頁
2024/02/22刊行