◆およそままならぬ夢想の日々。
人も獣もひたむきに生き、やがて過ぎ行く。
ふり返るたび妖しく揺らぐ50の小景。
◆作品紹介
先日、久々に星の注文があった。半球の真ん中のくぼみに熱々の鉄と水飴を注いで、片割れの石でぴっちりと挟み込む。ぐっと力を加えると気持ちも入る。この瞬間がたまらない。隙のない球体を目の前にして、艶やかなカーブに我ながら惚れ惚れした。きのう客先に納めたから、来週には夜空を飾るだろう。
惑星か衛星か聞きそびれたが、見慣れない星を見つけたら、ぼくが造ったものだと思って間違いない。
(「新星」より)
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[やぎひでゆき(1974〜)]
装丁:君嶋真理子
A5判並製カバー装
156頁
2024/01/22刊行