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自然に目を向けた作品を多数収録した第2句集。
「舞ふやうにほどけて紅き楓の芽」句集名となった作。実砂さんは、能楽、絵画、音楽に堪能だが、中でも能は幼少時から習いはじめたというだけあって、能に関する句が断然多い。この句の「舞ふやうに」も能の演舞に心通わせた作であることは顕かだが、他の句と視点が異なり、ほどけてゆく楓の芽を能の舞姿に見立てているのだ。楓の芽吹きは落葉樹の中でもっとも早く、しかも紅を帯びて美しく、能の装束をも思い描いたことであろう。 (帯・青柳志解樹)
ダリア咲くマチスの赤をふんだんに
夕焼けの中の灯台だけ真白
いちづさは男滝にまさる女滝かな
難波宮跡の一隅藍微塵
調律師打つかろやかな春の音
舞ふようにほどけて紅き楓の芽
栞・鑑賞10句 青柳志解樹
装丁・君嶋真理子 A5判上製カバー装 196頁
●著者略歴
本名、松野操。昭和22年大阪市生まれ。昭和45年平野俳句研究会入会。昭和55年山暦入会。昭和58年山暦同人。俳人協会会員