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◆ 第二句集
この本を作ることを通じてようやく過去の自作を包括的にふりかえる機会を得た。自分なりのものの見方、表現の仕方は少しずつ変化してきているようでもある。これを足場にして、さらに私の俳句が変わっていかなくてはならないだろうと思っている。
(あとがきより)
山にゐて山を見上ぐる五月かな
噴水のさざなみ届く岸にゐて
稲妻のつらぬく空に夜戻る
燦爛と落葉ぬれたる沼のへり
秋声や足下の濤をやや恐る
蜻蛉の群舞のなかの一翅とまる
待春や私鉄の線路錯綜す
遠景に桜鏤め旅に在り
駅を出て巷の秋や暮れきらぬ
冬草の貼付く町のはづれかな
装丁・君嶋真理子 四六判フランス装 112頁
●著者略歴
本名・植松史行。昭和37年神奈川県小田原市に生まれる。東北大学医学部卒業。昭和60年「嵯峨野」入会。平成6年「嵯峨野」若竹集同人。平成10年「嵯峨野」月光集同人。俳人協会会員