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平成元年より17年前半までの作品310句を収めた第2句集。蓮根掘の過酷な労働を的確に描いた「足首を泥に掴まれ蓮根掘」、人生のありようをも暗示している「綿虫の綿支へとも重荷とも」等、深さと広がりをもつ作品が横溢。
晶子忌や削りて紅き鰹節
形代のまだ男とも女とも
湯ざめして大きくなりぬ泣ぼくろ
赤鬼の集まつてゐる夜の焚火
冬ざれや水の底にも罠かけて
「枯菊や燃やせば文も香を立てて」深い思いの残る手紙を焼き捨てるときの心の揺れを、かすかな香り(嗅覚)を通して表現。深さと広さをもつ作品が横溢。
帯・鷹羽狩行
装丁・君嶋真理子 四六判上製カバー装 180頁
●著者略歴
昭和20年愛媛県生まれ。昭和54年「狩」入会。昭和63年句集『水中花』上梓。平成2年弓賞受賞(特別作品)。平成11年巻狩賞受賞(同人賞)。狩白羽同人。俳人協会会員。角川通信講座講師