◆第一句集
トランクを食卓にして青葡萄
旅情を感じさせるとともに、作者が冒険的な旅を楽しんでいる様子が伝わってくる。
異文化ばかりでなく、音楽、文学、演劇など、さまざまな芸術に関心を寄せてきた。それが、作者の作句の土壌になっている。
序より・藤田直子
◆自選十二句
シェイクスピア観て夏至の夜を言祝ぎぬ
秋高し河北の子らと楡植ゑて
長き夜の文芸論から組織論
秋の雨指が憶えてゐるショパン
辺境を旅する夢やハンモック
トランクを食卓にして青葡萄
海硝子(シーグラス)拾ふひるがほ閉づるまで
終はりとは始まりであり絵双六
ティンパニに頬寄す冬を告ぐる前
人類史に残らぬひと日ピクニック
近況報告虹の写真を送り合ひ
流星や己が書店を持つ夢も
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[ふじたるりこ(1974〜)「秋麗」同人]
序:藤田直子
跋:黒澤麻生子
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
204頁
2023/09/23刊行