◆第三句集
とりどりの時間が落ちてゐる椿
私の詩に登場する全てのものたちの光陰の模様という意を込めて「旹の跡」という名に致しました。(著者)
◆自選十五句
種袋振ると日和の音ばかり
虫はみな自分の闇を鳴らしをり
舞ひ上がる音丹頂となれる穹
土の香の春意あつめてゐる箒
想ひ出が菊の中から香りをり
切干の風の模様となる筵
とりどりの時間が落ちてゐる椿
人間のほかは曇りの海開き
体内の水澄むこゑを発したり
一村の灯が初空のいろとなる
初蚊打つ掌にぺちやんこのこゑの跡
ががんぼの名刺片足置いてゆく
トンネルの秋思吐きだす電車くる
夕去りて鳴ける氷柱の番縄
おにぎりの転がりたがるあたたかさ
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[かじわらよしくに(1944〜)「青芝」主宰]
装丁:和兔
四六判上製カバー装
242頁
2023/09/10刊行