◆第一句集
しやぼん玉膨らみたくて歪みをり
地球ほどのしゃぼん玉を吹こうとする。
いやいやをするように、ゆっくりと膨らんでゆく――。
次の瞬間壊れてあとかたもなくなるかも知れない。
あるいは、美しい虹色をまとった大きなしゃぼん玉が 夢のように舞い上がってゆくかも。
大事をなすには、大胆さとそれに増さる慎重さが必須。
仕事と家庭を両立させながら、
千晴さんはきっと彼女の世界をしっかりと切り開いてゆくことだろう。
(帯より・行方克巳)
◆行方克巳十句抄出
曖昧な笑みを浮かべて新社員
夫と我が声の重なり鬼やらひ
依怙贔屓してさくらんぼ配りけり
しやぼん玉膨らみたくて歪みをり
行く秋や素つ気なく後くされなく
春兆す自分を許すこと覚え
日向ぼこ笑み返すことなき人と
年賀状子供増えたり猫増えたり
今時の子はと言ひかけ咳けり
愛想なき店心地よき夏夕べ
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[はなわちはる(1974〜)「知音」同人]
帯:行方克巳
序:西村和子
装丁:和兔
四六判並製小口折り装
192頁
2023/08/31刊行