●第一句集
彫金入りイタリー銃を磨く春
「彫金入り」とあるから、みごとな装飾のある高価な銃だろう。だからといって、単なる飾りではあるまい。春という季節、すでに猟期を終えている。多くの鳥獣を得させてくれた感謝と次の猟期でも同じような恵みをもたらしてくれることを願いつつ、銃を磨いているのだ。
(序・小澤實)
●小澤實十五句選
角切りの鹿鎮めたり柄杓の水
ステンレス棒鋼が箸冷麺屋
樟脳船ビニールプール二周に尽く
新酒フェスタに百余の新酒十試す
短艇に拾ふデコイと撃ちし鴨
鴨二羽を射貫きぬ五ミリ弾ひとつ
野兎の耳は褒美ぞ犬にやる
引き金引く指先のなき手套嵌め
手長蝦短筒捕りや米糠入れ
羆撃ち抜きたる臼歯届出でぬ
熊の糞径に渦巻く跨ぎ越す
巨躯の鹿ウィンチに牽く顎に鉤
ナイフの柄鹿角製ぞ鹿皮剥ぐ
雪代岩魚釣れて刺身ぞ塩に食ふ
彫金入りイタリー銃を磨く春
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ご本の紹介→ (ふらんす堂「編集日記」)
[さかんやうへえ(1950〜)「澤」同人]
序:小澤實
装丁:山口信博+玉井一平
四六判上製カバー装
190頁
2023/09/18刊行